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(存続期間) 第六七条 特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。(改正、平六法律一一六) 2 特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。(本項追加、昭六二法律二七、改正、平五法律二六、平一一法律四一) 旧法との関係 四三条 趣旨 本条一項は、概括的にいえば、特許権の存続期間を定めたものであるといえるが、より正確にいうならば、特許権の存続期間の終期を定めたものである。すなわち、特許権が発生するのは前条一項に規定するように特許権の設定の登録のあった時であり、その特許権の存続期間は本項の規定により出願日から起算して二〇年をもって終了するのである。 本項は、平成六年の一部改正において、TRIPS協定三三条の「保護期間は、出願日から計算して二〇年の期間が経過する前に終了してはならない」旨の規定を受けて改正されたものであり、従来は、「特許権の存続期間は、出願広告の日から十五年をもつて終了する。ただし、特許出願の日から二十年をこえることができない」と規定されていた。この規定中本文は旧法と変わりないが、ただし書は現行法制定時に、次のような旧法下における弊害を除こうとして設けられたものである。 (1)たとえば、ある特許出願について出願公告前に拒絶査定がされ、さらに不服で審判を請求しさらに訴訟に持ち込んで最終段階において原査定が取り消されその後ようやく出願公告がされるようなことがあると、特許出願がされてから五年以上も経過していることがある。それからさらに一五年の存続期間を認めるということになると社会一般の蒙る迷惑は少なくない。すなわち、特許出願後二〇年以上も経過し社会の技術水準からみてさほど高くもなくなった発明についてなお引き続き独占権が行使されることになり、本来社会の技術進歩のための制度であるべき特許制度が技術進歩の障害となりかねないこと。 (2)また、旧法の下においては、出願人が存続期間の終了時期をなるべく将来にのばすために出願公告の時期を遅らしめようとして審査の促進に協力しようとしない場合も生じたこと。 平成六年の一部改正のいては、TRIPS協定の規定に従うことに加え、こうした旧法下における問題点や制度の国際的調和の観点を考慮し、現在のような規定に改正されている。 二項は、昭和六二年の一部改正により新設された規定であり、一定の要件を満たす場合には、一項の規定にかかわらず特許権の存続期間を延長することができる旨を規定するものである。 特許制度は、発明に係る技術の公開の代償として一定期間その権利の専有を認め、これによって発明を保護しつつ、一般の利用に供し、もって産業の発展を図ることを目的としているが、一部の分野では、安全性の確保等のための政府の法規制に基づく許認可を得るに当たり所用の実験によるデータの収集及びその審査に相当の長期間を要するため、その間はたとえ特許権が存続していても権利の専有による利益を享受しえず、その期間に相当する分だけいわば特許期間が侵食されているという問題が生じた。このような法規制そのものは、その趣旨からして必要欠くべからざるものであるが、その結果として、当該規制対象分野全体として、かつ、不可避的に、本来享受できるはずの特許期間がその規制に係る期間の分だけ享受し得ないこととなっている。しかも、これらの規制審査期間の短縮にも、安全性の確保等の観点からおのずから限界がある。こうした事態は、特許制度の基本にかかわる問題であるため、昭和六二年の一部改正において、特許権の存続期間の延長制度が創設された、延長対象を、特許発明に限ったのは、次の二つの理由による。第一には、本制度は、「特許権の存続期間の延長制度」であり、特許法上、特許権の存続期間は、特許権の設定の登録の日に始まると規定されているためである(六六条一項)。第二には、他の分野の発明との公平性の問題である。すなわち、仮に、出願公開の日又は出願公告の日から起算することとすると、本延長制度の対象として政令指定された分野については、特許の審査・審理に要した期間(特許権の設定の登録前の期間)についても部分的に存続期間の延長の対象とされることとなり、一般の政令指定されない分野については特許の審査・審理に長期間かかれば特許権の存続期間は短くなるにもかかわらず期間延長の対象とはならないのと比べ、公平性を失することとなるためである。 延長制度の対象分野である政令で定める処分は、特許法施行令第三条において、薬事法の承認及び農薬取締法の登録が規定されている。 なお、本条には従来、追加の特許権が独立の特許権になった場合の存続期間の規定(昭和六〇年の一部改正で削除)や明細書又は図面の補正が要旨変更であると認定されて特許出願の時点が繰り下げられた場合の存続期間の規定(平成五年の一部改正で削除)が設けられていたが、いずれも削除されている。 [字句の解釈] 1 <安全性の確保等を目的とする>「安全性の確保等を目的とする」という字句は、「法律」の具体的イメージを表現するために、例示したにすぎないものであり、「等」の内容は「安全性の確保」により限定されるものでないから、法律の目的の内容いかんによって、政令指定されるか否かが変わることはない。 2 <的確に行うには相当の期間を要するもの>「当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして」と規定したのは、その処分の目的をきちんと達成するためには、どんなに早く手続を運んでいっても、やむを得ず、相当の期間を要してしまうものに限って対象とするという趣旨を明らかにしたものである。 3 <特許発明の実施をすることができない期間があったとき>特許期間は、排他的実施権たる特許権に時間的制限を設けることにより、発明の保護と利用の調和点を見出すものである。昭和六二年の一部改正により導入された措置は、安全性の確保等の法規制の処分を受けるに当たり、所要の実験・審査等に長期間を有することにより特許発明の実施ができない分野について延長を行うものであるが、その目的は、このような要件に該当する分野については、発明の保護に著しく欠ける現状となっており、あまりにもこれを利用する側の立場が有利となっていることに鑑み、発明の保護を手厚くすることによって、その利用との均衡を図ろうとするものである。制度導入当時は、延長登録出願の極端な増加は重要な発明の審査遅延をもたらすこと、政府規制をクリアにするためには、通常であれば二年間程度はかかることに鑑み、実施をすることができなかった期間が二年以上のものに限り延長を認めるとしていた。しかしながら、存続期間の延長制度を採用する欧米と比較すると、二年未満の延長を認めない点は我が国固有のものであり、このような制限を設けていない欧米と比べ、特許権者を充分保護しているとは言い難いこと、及び本制度導入から一〇年以上経過したが、その間、延長登録出願の件数も一定に維持させており、極端な増加のおそれはなくなったことから、平成一一年の一部改正において特許発明を実施することができなかった期間があるときは、特許権の存続期間を延長をすることができることとした。 4 <五年を限度として>昭和六二年の一部改正により導入された特許期間の延長制度は、一項の例外、制度導入当時でいえば、平成六年の一部改正前の一項ただし書の「ただし、特許出願の日から二十年をこえることができない。」の例外を形成することとなるものである。この従来のただし書の規定は、出願公告が遅れたために特許権の終期が咲きに不当に延びることによる弊害を除くために設けられたものである。よって、本延長制度を創設するに当たっても、特許権の存続期間の満了日は特許出願の日から無制限に長くなることのないよう手当てしなければならないため、五年を上限とした。現在の一項の規定においても、従来の一項ただし書の規定の趣旨は踏襲されているので、この点に変わりはない。なお、アメリカ、欧州及び韓国の期間延長制度も五年の上限を設けている。(青本第17版)
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(同前) 第三四条 特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができない。実意 2 同一のものから承継した同一の者から承継した同一の特許を受ける権利について同日に二以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた者以外の者の承継は、第三者に対抗することができない。実意 3 同一の者から承継した同一の発明及び考案についての特許を受ける権利及び実用新案登録を受ける権利について同日に特許出願及び実用新案登録出願があつたときも、前項と同様とする。 4 特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届けなければ、その効力を生じない。実意商 5 特許を受ける権利の相続その他一般承継があつたときは、承継人は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。実意商 6 同一の者から承継した同一の特許を受ける権利の承継について同日に二以上の届出があつたときは、届出をした者の協議により定めた者以外の者の協議により定めた者以外の者の届出は、その効力を生じない。実意商 7 第三十九条第七項及び第八項[同日出願人の協議]の規定は、第二項、第三項及び前項の場合に準用する。実意商 旧法との関係 一二条三項 趣旨 本条は、特許を受ける権利の承継について規定したものである。一項は特許出願前における特許を受ける権利の承継は特許出願により第三者に対抗することができるものになる旨を規定する。前条において説明したように、特許を受ける権利は発明をすることにより生じるものであるから、特許を受ける権利の承継という行為は特許出願前にされることもあり得るわけであるが、その承継については適当な公示手段もないので特許出願をもって対抗要件としたのである。四項の場合においては届出をもって効力発生要件としているのにもかかわらず、一項の場合は第三者対抗要件としたのは、もし一項の場合も四項の場合同様に効力発生要件とすると特許出願前において特許を受ける権利の承継をすることができないということになり、そうなると社会の実情から考えて不便が多いということで、一項に規定する場合については旧法と同様第三者対抗要件としたものである。 二項は一項の特別規定といえるものである。すなわち、一項の規定によれば同一の者から承継した同一の特許を受ける権利について二以上の特許出願があったときは、最先に特許出願をした者が優先し(たとえ承継が後になされた場合でも)、その他の者の特許を受ける権利は無効なものとなるが、特許法においては、新規性判断の場合を除き、特許出願の先後については日の先後のみを問題とし、同日中の時間の先後は問題としないこととしているので、(三九条)本項もその趣旨から同日に二人以上の者による二以上の特許出願があったときは、これらの特許出願人に協議を命じ、協議により定められた者のみが承継について第三者に対抗することができるものとした。三項は二項とほぼ同じような問題について規定したものである。二項は、同一の者から二人以上の者に同一の特許を受ける権利が承継された場合のことであるが、三項は同一の技術的思想を一方では発明としてとらえたほうでは考案としてとらえ、それぞれについて同日に特許出願及び実用新案登録出願があった場合も、二項の場合と同じようにこれらの出願人の協議により定められた者のみが対抗することができるというものである。旧法においては特許出願と実用新案登録出願との間に先後願関係を審査しないので同一の技術的思想については一方では発明としてとらえ他方では物品の型としてとらえれば特許権と実用新案権が平在することもあり得たが、現行法においては両者の先後願関係は審査の対象となる(三九条三項及び四項)ので、本項はそれとの関連規定として新しくおかれたものである。 四項は特許出願後における特許を受ける権利の承継について規定する。本項の場合は、旧法と異なり、届出をもって効力発生要件とした。これは特許権の移転等について改正と同じように権利の帰属関係を明確にするためである。なお。本項について相続その他の一般承継については除外しているが、もし除外しない場合は、相続等の事実が発生した時点から承継の届出がされるまでの間は権利者はいないという事態が発生するので、それを防ぐためのものにほかならない。したがって、相続その他の一般承継の場合は登録なくして承継の効力が生ずることになる。ただ、相続その他の一般承継の場合は五項に規定するように承継があった旨を特許庁長官に届け出なければならない義務が課せられている。 六項は、同一の者から承継した同一の特許を受ける権利の承継について同日に二以上の届出があったときは、特許法においては同日中の時間の先後については問題にしないという趣旨から両当事者に協議を命じ、その協議によって定められた者の届出のみが効力を生ずべきことを規定した。七項は本条二項、三項及び六項の規定により協議せしめる場合の取り扱い方法について、三九条七項及び八項の規定を準用するものである。 [字句の説明] <相続その他の一般承継>相続のほかには、会社合併、包括遺贈等が含まれる。(青本第17版)
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打ち上げまでに必要な手続きを記載
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(同前)実意商 第一五一条 第百四十七条並びに民事訴訟法第九十三条第一項(期日の指定)、第九十四条(期日の呼出し)、第百七十九条から第百八十一条まで、第百八十三条から第百八十六条まで、第百八十八条、第百九十一条、第百九十五条から第百九十八条まで、第百九十九条第一項、第二百一条から第二百四条まで、第二百六条、第二百七条、第二百十条から第二百十三条まで、第二百十四条第一項から第三項まで、第二百十五条から第二百二十二条まで、第二百二十三条第一項から第六項まで、第二百二十六条から第二百二十八条まで、第二百二十九条第一稿から第三項まで、第二百三十一条、第二百三十二条第一項、第二百三十三条、第二百三十四条、第二百三十六条から第二百三十八条まで、第二百四十条から第二百四十二条まで(証拠)及び第二百七十八条(尋問等に代わる書面の提出)の規定は、前条の規定による証拠調べ又は証拠保全に準用する。この場合において、この場合において、同法第百七十九条中「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実」とあるのは「顕著な事実」と、同法第二百四条及び第二百十五条の三中「最高裁判所規則」とあるのは「経済産産業省令」と読み替えるものとする。 (改正、昭五七法律八三、平八法律一一〇、平一一法律一六〇、平一三法律九六、平一五法律一〇八、平一八法律五五) 旧法との関係 趣旨 本条は、証拠調べ又は証拠保全に関する準用条文について規定したものである。旧法は、「民事訴訟法中証拠ニ関スル規定」と表現していたが、このような規定からは具体的にどの条文が準用されているか必ずしも明確でないので、最近の立法の傾向にしたがい、準用条文を列挙したのである。 まず民事訴訟法第二編第三章証拠の規定の大部分が準用になる。同法一七九条以下がそれであり、証拠調べ及び証拠保全の手続はこれらの規定によって規律される。ただし、特許法における審判が職権主義によって貫かれている以上、当事者主義はこれらの規定は準用されない。たとえば、民事訴訟法二二四条一項は「当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。」という規定があるが、審判における証拠調べ、証拠保全には準用されない。同様の趣旨から準用を除外されているのは、民事訴訟法二〇八条[不出頭等の効果]、二二四条二項[当事者が相手方の指定を妨げる目的で文書を滅失させた場合]、二二九条四項[文書の成立の真否に関する挙証者の主張]である。 次に審判官は順司法的機能を営むのであるが、裁判官とは異なり、過料の決定をしたり、勾引を命じたりすることはできないとされている。旧法は一〇〇条三項で「審判官ハ過料ノ決定ヲ為シ、勾引ヲ命シ又ハ保証金ヲ供託セシムルコトヲ得ス」と規定することにより、その趣旨を明らかにしていた。本条では民事訴訟法の規定のうち、過料の決定、勾引に関する規定を準用されていないのはそのためである。やや特殊なのは同法二三五条である。これは証拠保全の管轄を定めたものであるが、証拠保全の管轄については前条に特別規定があるので不要とされた。 先に述べたように、証拠に関する規定を準用しただけでは不十分である。特許法一四七条[調書]、民事訴訟法九三条一項[期日の指定]、九四条[期日の呼出し]を準用したのは、実際上の便宜を顧慮してのことである。 読替規定のうち、当事者が自白した事実を除いたのは、職権主義のもとでは当事者が自白した事実についても証拠調べが行われることがあるからである。 なお、平成八年の民事訴訟法の改正に伴い、準用する民事訴訟法規定の条番号の変更、規則事項への移行及び内容の変更並びに関連する民事訴訟法規定の新設が行われた。このうち、規則事項へ移行したものについては、引き続き特許法に準用することができないため、同旨の規定を特許法施行規則に設けることとした。また、読替規定に関しては、旧民事訴訟法二六七条二項[疎明]が削除されたことにより、これに対応する読替規定がなくなり、民事訴訟法二〇四条を新たに準用した事に伴い、必要な読替規定を新たにおくこととした。また平成一三年の民事訴訟法の一部を改正する法律により、特許法で準用している条文の項が移動されるとおもに新規条文が追加された事に伴い、必要な改正を行った。 また、平成一八年の改正時に文言を「尋問」から「尋問等」にする一部修正を行った。 本条において準用する民事訴訟法規定について、以下簡単に説明する。 【期日】 九三条第一項は、期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定することを定めたものである。九四条は、期日の呼出しの方法、呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない当事者、証人又は観点人に対し、法律上の制裁その他期日の怠りによる不利益を帰することができないこと並びにこの場合においても、これらの者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、法律上の制裁その他期日の怠りにより不利益を帰することができることを帰すことができることを定めたものである。 【証拠・総則】 一七九条は、当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しないことを定めたものである。なお、本条に当該規定を準用するにあたっては読替規定が設けられており、自白した事実については削除され、顕著な事実についてのみが準用されている。一八〇条は、証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならないこと及び期日前にもすることができることを定めたものである。一八一条は、当事者が申し出た証拠で裁判所が不必要と認めるものは証拠調べをする必要がないこと及び当事者が申し出た証拠について証拠調べをすることに不定期間の障害がある場合の取扱いについて定めたものである。一八三条は、証拠調べは、双方の当事者が期日に出頭しない場合であってもすることができることを定めたものである。一八四条は、外国における証拠調べの実施方法及びその効力について定めたものである。一八五条は、裁判所外において証拠調べをすることができる場合について定めるとともに、その場合には、受命裁判官又は受託裁判官に証拠調べをさせることができること及び受託裁判官が更に他の裁判所に嘱託をすることができることを定めたものである。一八六条は、裁判所は、官庁その他の公私の団体に、必要な調査を嘱託することができることを定めたものである。一八八条は、疎明の方法について定めたものである。 【証拠・証人尋問】 一九〇条は、特別の定めがある場合を除いて、裁判所は、何人でも証人として尋問できることを定めたものである。一九一条は、公務員(国会議員、国務大臣を含む。)を証人として職務上の秘密について尋問する場合の取扱いについて定めたものである。一九五条は、裁判所外で証拠調べをする場合には、裁判所は、受命裁判官又は受託裁判官に証拠調べをすることができる旨の規定を前提として、証人尋問に関しては、受命裁判官等に証拠調べをさせることができる場合を限定して列挙したものである。一九六条は、証人自身又は証人と一定の関係を有する者に関する一定の事項について、証言拒絶権を定めたものである。一九七条は、一定の職業等にある者が職務上知り得た事実及び技術又は職業の秘密に関する事実について、証言拒絶権を定めたものである。一九八条は、証人が証言を拒絶する場合には、証言拒絶の理由を疎明しなければならないことを定めたものである。一九九条一項は、証人が証言を拒絶した場合には、その当否について受訴裁判所が裁判をすることを定めたものである。二〇一条は、証人には原則として宣誓をさせなければならないこと、宣誓をさせることができない者、宣誓をさせないことができる場合、宣誓を拒絶することができる場合及び宣誓を拒絶した場合の処置について定めたものである。二〇二条は、証人の尋問は、原則として、尋問の申出をした当事者、他の当事者、裁判長の順序で行われるが、裁判長は、当事者の意見を聴いて尋問の順序を変更することができること及び当事者がその変更に異議を述べた場合には裁判所が異議について決定で裁判をすることを定めたものである。二〇三条は、証人は、裁判長の許可を得た場合を除いて、書類等の資料を参照することなく、自らの記憶のみに基づいて証言をすべきことを定めたものである。二〇三条の二は、裁判長は、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が尋問を受ける場合に著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判長若しくは当事者の尋問若しくは証人の陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の陳述中、証人に付き添わせることができることを定めたものである。二〇三条の三は、裁判長は、事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人の面前において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるときは、その当事者本人又は法定代理人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができることを定めたものである。二〇四条は、遠隔の地に居住する証人の尋問をする場合等に、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話することができる方法によって、尋問を行うことができることを定めたものである。二〇六条は、受命裁判官又は受託裁判官が証人尋問をする場合には、裁判所及び裁判官の職務は当該裁判官が行うとともに、その裁判官がした尋問の順序を変更する命令に対する当事者の異議については受訴裁判所が裁判することを定めたものである。 【証拠・当事者尋問】 二〇七条は、当事者本人の尋問は、申立て又は職権によること、当事者本人を尋問する場合には宣誓をさせることができること、並びに証人及び当事者本人を尋問する場合には原則として証人尋問を先にしなければならないが、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて当事者本人の尋問を先に行うことができることを定めたものである。二一〇条は、証人尋問の規定の一部を当事者本人の尋問について準用することを定めたものである。二一一条は、法定代理人によって訴訟追行がされている場合には、その訴訟において当事者を代表する法定代理人については、当事者本人の尋問に関する規定を準用することを定めるとともに、この場合においても、別途、当事者本人を尋問することは妨げられないことを定めたものである。 【証拠・鑑定】 二一二条は、鑑定に必要な学識経験を有する者は鑑定をする義務を負うものとするとともに、鑑定人となることができない者について定めたものである。二一三条は、鑑定人の指定は、受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官が行うことを定めたものである。二一四条一~三項は、鑑定人について誠実に鑑定することを妨げるべき事情がある場合の忌避の申立て、これについての裁判及び忌避の申立てに対する裁判についての不服申立ての可否について定めたものである。二一五条の二~二一五条の四は、鑑定人質問についての規定である。二一六条は、鑑定には、特別の定めがある場合を除き、第二節[証人尋問]の規定(ただし、勾引及び尋問に代わる書面に関する規定を除く。)を準用することを定めたものである。二一七条は、鑑定に必要な学識経験を有する者は鑑定する義務を負っているが、特別の学識経験に基づいて知ることができた事項についてその者を尋問する場合には、証拠調べの方式としては、鑑定ではなく、証人尋問によるべきことを規定したものである。二一八条は、裁判所は、必要があると認めるときは、官庁その他の団体に鑑定を嘱託し、かつ官庁等の指定した者に鑑定書の説明をさせることができることを定めたものである。 【証拠・書証】 二一九条は、書証の申出の方法を定めたものである。二二〇条は、文書の所持者がその提出の義務を負う場合を定めたものである。二二一条は、文書提出命令の申立ての形式的要件及び前条四号を提出義務の原因とする申立てについての文書提出命令に必要性の要件について定めたものである。二二二条は文書を作成するための手続について定めたものである。二二三条一~七項は、文書提出命令の発令、第三者の必要的審尋及び文書提出義務の存否の審理のための手続について定めたものである。二二六条は、書証の申出の方法の一つとして、文書の所持者にその送付を嘱託することを申し立ててする方法について定めたものである。二二七条は、裁判所は、必要があると認めたときは、提出又は送付に係る文書を留め置くことができることを定めたものである。二二八条は、文書の成立の真正の証明、公文書の成立の真正の推定、公文書の成立の真否についての問合合わせ、私文書の成立の真正の推定並びに外国の公文書への二項及び三項の準用について定めたものである。二二九条一~三項は、筆跡又は印影の対照による文書の成立の真否の証明、対照の用に供すべき物件の提出又は送付及び対照の用に供すべき文字の筆記命令について定めたものである。二三一条は、書証の節の規定を図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないもの(準文書)について準用することを定めたものである。 【証拠・検証】 二三一条一項は、検証物の提示又は送付について二一九条[書証の申出]、二二三条[文書提出命令等]、二二四条[当事者が提出命令に従わない場合等の効果]、二二六条[文書送付の嘱託]及び二二七条[文書の留置]の規定を準用することについて定めたものである。なお、本条に当該規定を準用するにあたっては、本条において書証の節の規定として準用していない二二四条については除かれることになる。二三三条は、裁判所又は受命裁判所若しくは受託裁判所は、検証をするにあたり、必要があると認めるときは、鑑定を命ずることができることについて定めたものである。 【証拠・証拠保全】 二三四条は、裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができることを定めたものである。二三六条は、証拠保全の申立ては、相手方を指定することができない場合においても、することができること及びこの場合においては、裁判所は、相手方となるべき者のために特別代理人を選任することができることを定めたものである。二三七条は、裁判所は、必要があると認めたときは、訴訟の係属中、職権で、証拠保全の決定をすることができることを定めたものである。二三八条は、証拠保全の決定に対しては、不服を申し立てることができないことを定めたものである。二四〇条は、証拠調べの期日には、申立人及び相手方を呼び出さなければならないが、急速を要する場合は、この限りでないことを定めたものである。二四一条は、証拠保全に関する費用は、訴訟費用の一部とすることを定めたものである。二四二条は、証拠保全の手続において尋問した証人について、当事者が口頭弁論における尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならないことを定めたものである。 【証拠・簡易裁判所における証人尋問】 二七八条は、証人等の尋問に代わる書面の提出をさせることができることを定めたものである。(青本第17版)
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(条約の効力)実意商 第二六条 特許に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。 旧法との関係 趣旨 本条は、条約に別段の定めがある場合はそれによる旨を規定したものである。一般的に国際法と国内法の関係については、国際法は国家を義務付けるものではあるが、それは直接に国内法に影響を及ぼすものではなく、国家がその義務を履行するためには、それに必要な国内法的立法手段をとる必要があるとする説と、国際法も国内法も広い意味では同一次元の法秩序を律するものであり、両者の関係は一元的に考えるべきであるとする説とがある。後者の説のうちにはさらに、国際法と国内法とのいずれに優位を認められるべきかについて説が分かれ、国際法上優位説と国内法優位説とがある。本条は条約と特許法との関係について、そのような議論の余地なからしめたるため設けられたものであるということができる。 ところで、本条の規定にいう「条約に別段の定がある」場合のもっとも適切な例は、工業所有権の保護に関するパリ条約四条の優先権に冠する規定である。この規定によれば、条約加盟国の一国において特許出願をしてその特許出願後一二月以内に優先権を主張をして他の加盟国に特許出願をしたときは、その特許出願ははじめに条約加盟国に特許をしたと同じように取り扱われるのである。したがって、はじめの特許出願から次の国への特許出願をするまでの間に、公然と発明を実施したまたは第三者が同一発明について特許出願をしていたとしても、その間の事実に関する限りは二九条一項各号(新規性)、三九条(洗願)の規定等は適用されないのである。(青本第17版)
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(同前) 第三七条 二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願することができる。 (改正、昭六二法律二七、平一五法律四七) 旧法との関係 七条 趣旨 本条は平成一五年の一部改正により、改正前野三七条と入れ替えられたのである。 技術的には所定の関係を有する複数の発明は、別々に出願するよりも、一つにまとめて出願する方が、出願人にとって出願手続が簡易になる。また、第三者にとっては、関連する発明の情報が効率的に入手可能となり、特許情報の利用や権利の取引が容易となる。さらに、特許庁によっては、関連する発明をまとめて効率的に審査することができるという利点がある。こうした観点を踏まえ、特許協力条約(PCT)や多くの主要国の特許法では、一つの出願に複数の発明を包含することを許容する一方、その範囲として、発明の単一性の要件を規則等に規定している。 一つの出願に含めることができる発明の数について、昭和三四年制定時の三八条では「特許出願は、発明ごとにしなければならない」という一発明一出願の原則が規定され、複数の発明を一の出願で行うという併合出願を極めて例外的に認めていた。また、昭和六二年の一部改正においては、欧米において複数発明を一つの出願に含めることが広く認められていることを踏まえ、国際的に事業展開を行う企業による円滑な権利取得を促進する観点から、昭和三四年制定時の三八条に相当する規定を三七条に新設し、二以上の発明、すなわち、技術的思想として別の発明については、これらの発明を、それぞれ請求項に一定の表現で具体的に書き表した場合に、そのうちどれら一つの請求項に記載された発明(特定発明)に対し、他のすべての請求項に記載された発明が同条に列挙された各号のいずれかに掲げる関係を有する場合には、これらの請求項に記載された発明を一の願書で特許出願をすることができることとしていた。しかしながら、このような規定ぶりに対しては、以下の(1)から(4)に揚げる具体的問題点が指摘されていた。 (1)柔軟な対応の困難性 発明の単一性の要件については、技術革新に伴う出願内容の多様化をはじめとした出願動向等の変化に応じ、当該要件を満たす発明の範囲を弾力的に改正することが求められる。また、工業所有権制度の国際調和の動向に迅速に対応することも求められる。 しかしながら、昭和六二年一部改正時の三七条では、発明の単一性の具体的要件を政省令といった下位法令ではなく法律で規定しており、柔軟な対応が困難な規定様式となっていた。 これに対し、PCTでは、発明の単一性の具体的要件については、特許協力条約に基づく規則(PCT規則)で規定しており、柔軟な対応を可能とする規定様式となっている。 (2)「特定発明」との関係で判断することによる問題 昭和六二年一部改正の三七条では、任意の一の請求項に記載される発明を「特定発明」とし、その「特定発明」に対し他の各請求項に記載される発明が発明の単一性の要件を満たすか否かを一対一の関係で判断するように規定されていた。そのため、特定発明との関係においては所定の関係を有するものの、特定発明以外のそれぞれの発明の間には所定の関係を有さないような場合であっても、発明の単一性の要件を満たすと判断されるおそれがあった。 また昭和六二年一部改正の三七条の規定に従えば、全ての請求項をそれぞれ順番に特定発明とし、他の請求項との関係で発明の単一性の要求を判断していく必要があった。しかしこのような判断手法を用いた場合には、請求項数の増加に伴い発明の単一性の要件の判断に要する負担も増加する。このような状況は、例えば出願人が一つの出願に含めることのできる発明の範囲を把握することが困難になる等の事態を招くものと予想され、複数の発明を一つの願書で特許出願とすることを認めている目的を阻害するものとなるおそれがある。 これに対し、PCTでは、PCT規則に発明の単一性の要件の有無を、一つの出願に含まれる各請求項に記載される発明の全てに共通する関係の有無により判断するよう規定されているので、我が国のような問題は生じない。 (3)先行技術との関係の不明確さの問題 昭和六二年一部改正時の第三七条は、発明の単一性の要件として、請求項に記載される発明の産業上の利用分野が同一であって、かつ「解決しようとする課題」又は「主要部」が同一であることを挙げていた。 「解決しようとする課題」とは出願時まで先行技術によっては未解決であった技術上の課題を意味する。また、「主要部」とはその課題に対応した新規な事項を意味する。しかしながら、条文上は、これら「解決しようとする課題」や「主要部」が先行技術との関係で新規なものであることが明確に記載されているわけではなく、統一した運用の徹底が困難であった。 これに対し、PCTでは、PCT規則で各発明に共通する技術的特徴が先行技術を超えるものではなくてはならないことが明確に規定されている。 (4)単一の請求内での単一性違反規定の不在の問題 我が国においては、ある発明が別個の請求項に記載すると発明の単一性の要件を満たさないような場合であっても、これを一の請求項に択一的に記載した場合には発明の単一性の要件違反とならないという問題があった。 これに対し、PCTでは、上述のような場合には発明の単一性の要件の判断は、別個の請求項に記載されているか、一の請求項に記載されているかに関係なく行う旨がPCT規定で規定されている。 これらの指摘を踏まえ、平成一五年の一部改正においては、発明の単一性の規定をPCTの規定ぶりと調和したものとするため、発明の単一性の要件を満たす条件として、特許法においては二以上の発明が「技術的関係」を有することが求められることのみを規定するとともに、具体的要件についてはPCT規定と調和した規定を省令に置いている。(青本第17版)
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(同前) 第三六条の二 特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。(改正、平一一法律一六〇、平一四法律二四) 2 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日から一年二月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条のニ第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合であつては、本文の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。(改正、平一八法律五五) 3 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の同項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は取り下げられたものとみなす。 4 第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。 (本条追加、平六法律一一六、改正、平一四法律二四) 旧法との関係 該当条文なし 趣旨 従来の特許法においては、特許出願にあたっては願書を提出するとともに、願書には明細書、必要な図面及び要約書を添付しなければならず(三六条二項)、これらの書類は日本語により作成しなければならないとされた。 このため、従来、外国人が我が国に特許出願を行う場合は、通常、外国語により行った第一国出願に基づきパリ条約の優先権を主張し、願書に日本語に翻訳した明細書等を添付することにより行っていた。 しかし、従来の特許法においては、①パリ優先権が主張できる一年の期間が切れる直前に特許出願せざるを得ない場合には、短期間に翻訳文を作成する必要が生じることに加え、②願書に最初に添付した明細書又は図面(すなわち外国語を日本語に翻訳した出願当初の明細書又は図面)に記載されていない事項を出願後に補正により追加することは認められてないため、外国語を日本語に翻訳する過程で誤訳があった場合には、外国語による記載内容をもとにその誤訳を訂正することができないなど、発明の適切な保護が図れない場合があった。 本条は、こうした問題点を解決するため、平成六年の一部改正において新設された外国語書面出願について規定したものである。 一項は、外国語書面出願の提出書類について規定したものである。願書には日本語で作成した明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない(三六条二項)が、本項では、これに代えて日本語による願書に、①明細書に記載すべき事項を経済産業省令で定める外国語(特許法施行規則二五条の四において英語を規定)で記載した書面、②必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの及び③要約書に記載すべき事項をその外国語で記載した書面を添付して提出することができる旨を規定している。 二項は、一項の規定により願書に添付した外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出義務について規定したものである。我が国においては、特許権は日本語により発生させる必要があることから、特許協力条約に基づく外国語特許出願については、従来から翻訳文の提出を求めていた。外国語書面においても同様であるため、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出しなければならないこととした。本項に規定する翻訳文の提出期間は、平成一八年の一部改正前は出願の日から二月以内とされていたが、我が国に外国語書面出願により第一国出願をする出願人の翻訳文作成負担の軽減を図るため、同改正により、優先日から一年二月以内に延長された。「一年二月」としたのは、(1)分類付与や公報発行準備等の出願公開前(先の出願)に基づいて国内優先権を主張して新たな外国語書面出願(後の出願)を行う場合であって、翻訳文提出期間経過後に後の出願を行う場合、先の出願と後の出願の両方について翻訳文を作成する必要がある(翻訳文を提出しておかないと、先の出願が見なし取下げとなってしまう)ことを考慮したためである。本項ただし書は、特許出願の分割、若しくは出願の変更に係る外国語書面出願、又は実用新案登録に基づく外国語書面出願を行った場合について規定したものである。この場合であっても、出願日(もとの出願又は基礎とした実用新案登録に係る実用新案登録出願(以下「もとの出願等」という。)の出願日に遡及)から一年六月経過後に速やかに翻訳文付きで公開が行われる必要があるため、翻訳文提出期間は原則として、「出願日(もとの出願等の出願日に遡及)から一年二月」であるが、もとの出願等の出願日から一年以上経過後に特許出願の分割若しくは出願の変更に係る外国語書面出願又は実用新案登録に基づく外国語書面出願を行う場合には、分割の日、変更の日又は実用新案登録に基づく特許出願の出願日から二月の間、翻訳文提出期間を設けることとしている。 三項は、翻訳文の提出がない場合の取扱いについて規定したものである。出願の日から一年二月以内に外国語書面のうち明細書に相当する書面の翻訳文の提出がなかった場合は、特許協力条約に基づく外国語特許出願について明細書及び請求の範囲の翻訳文が提出されなかった場合の扱い一八四条の四第三項)と同様、その外国語書面出願は取り下げられたものとみなすこととした。 なお、図面に相当する書面と外国語要約書面の翻訳文が提出されなかった場合の取扱いについては、以下のとおりとした。すなわち、図面について翻訳文が提出されなかった場合は、四項の規定により願書に添付して図面はないものとして取り扱えば足りるため、出願のみなし取下げとはせず、また、外国語要約書面について翻訳文が提出されなかった場合は、技術情報としての利用に供することができるよう出願人に補正を命じれば足りるため、この場合も出願のみなし取下げとはしないこととした。 四項は、二項の規定により提出された翻訳文の特許法上の位置付けについて規定したものである。特許法においては、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」が審査の対象となるとともに、これらに基づき特許権、補償金請求権が発生する。外国語書面出願の場合は、従来の特許協力条約に基づく外国語特許出願と同様(一八四条の六)、外国語書面の翻訳文を願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面とみなし、外国語要約書面の翻訳文を願書に添付して提出した要約書とみなすことにより、翻訳文が審査及び特許権等の対象となることを明確にした。本項の規定により、外国語書面出願の審査は、特許法上の明細書等とみなされた翻訳文に基礎をおいてすればよいこととなるが、このような取扱いとしたのは、特許権等の範囲が外国語書面で確定されると、第三者は常に外国語書面イあたることが必要となり第三者の監視負担が極めて大きいこと、審査の対象を外国語書面とすると、たとえ翻訳文が提出されたとしても拒絶理由の有無等は外国語書面に基づいて審査しなければならず、迅速な審査に支障をきたすこと等を考慮したためである。 なお、平成一四年の一部改正において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、本状にも同様の修正が加えられた。(青本第17版)
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(偽証等の罪) 第一九九条 この法律の規定により宣誓した証人、鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。 2 前項の罪を犯した者が事件の判定の謄本が送達され、又は審決が確定する前に自白したときは、その刑を軽減し、又は免除することができる。(改正、平六法律一一六、平一一法律四一、平一五法律四七) 旧法との関係 一三二条 趣旨 本条は、偽証等の罪について規定したものである。一般の偽証罪については刑法に規定がある。すなわち、同法一六九条は「法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。」と規定し、一七一条は「法律により宣誓した鑑定人、通訳人又は翻訳人が虚偽の鑑定、通訳又は翻訳をしたときは、前二条の例による。」とするから、一項は刑法の原則と変わるところはない。刑の量についても刑法と同じである。本条はむしろ二項に重要な意味があり、一項はに項を引き出すための規定である。刑法一七〇条は「前条の罪を犯した者が、その証言をした事件について、その裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を軽減し、又は免除することができる。」と定めるが、査定、審決は「裁判」には該当しないので同法をもってまかなうことはできず特に規定を設けたのである。旧法とは「事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前」と規定していたが、この表現だと審査の段階で偽証した者はその後事件が審判に係属した後に自白しても減免されないことになる。これは刑事政策上適当でないので二項「事件の判定の謄本が送達され、又は審決が確定する前」と改められた。 虚偽の陳述とは証人の記憶に反する陳述であり、内容が客観的真実に合致しているかどうかは問わない。虚偽の鑑定とは鑑定人の所信に反する意見ないしは判断の陳述であり,真実との一致不一致が問題にならないのは偽証の場合と同様である。 なお、平成六年の一部改正により、特許異議申立ての審理において偽証の罪を犯した者が特許異議の申立てについての決定の確定前に自白した場合を、刑の現軽又は免除の対象として追加した。また、平成一一年の一部改正において、判定制度について必要な手続規定の整備を行ったが、判定については、その結論に法的拘束力がないものの、当事者の紛争解決のための公的見解の表明であり、その判断作用は適性を期する必要があるため、特に証拠調べに関する規定の整備に伴い、判定の審理手続において証人等が虚証した場合を刑の減刑又は免除の対象として追加した。さらに、平成一五年の一部改正において、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、該当箇所を削除した。 [字句の解釈] 1 <証人>民事訴訟法では、自己の経験によって知得した具体的な事実について、尋問に応じて供述することを裁判所から命ぜられる第三者をいう。特許法の場合は、供述を命ずる主体は特許庁及び特許庁の嘱託を受けた裁判所である。 2 <鑑定人>民事訴訟法上では、裁判官の判断能力を補助させるため、特別の学識経験を有する者に知識またはその知識を利用した判断を報告させる場合におけるその学識経験者を指す。 3 <通訳人>必ずしも外国人の場合にのみ用いられるとは限らない。民事訴訟法一五四条一項は「口頭弁論に関与する者が日本語に通じないとき、又は耳が聴こえない者若しくは口がきけない者であるときは、通訳人を立ち会わせる」と規定する。 4 <嘱託を受けた裁判所>150条六項にもとづき特許庁は証拠調または証拠保全を裁判所に嘱託することができる。 5 <自白>民事訴訟法と刑事訴訟法とでは意味が異なる。刑事訴訟法は被告人に不利益な事実の証拠となり得る被告人の陳述をいう。(青本第17版)
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(国際出願に係る願書、明細書等の効力等) 第一八四条の六 国際特許出願に係る国際出願日における願書は、第三十六条第一項[特許出願の願書]の規定により提出した願書とみなす。(改正、昭六〇法律四一) 2 日本語でされた国際特許出願(以下「日本語特許出願」という。)に係る国際出願日における明細書及び外国語特許出願に係る国際出願日における明細書の翻訳文は三十六条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書と、日本語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲及び外国語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲と、日本語特許出願特許出願に係る国際出願日における図面並びに外国語特許出願に係る国際出願日における図面(図面の中の説明を除く。)及び図面の中の説明の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した図面と、日本語特許出願に係る要約及び外国語特許出願に係る要約の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。(改正、昭六〇法律四一、昭六二法律二七、平二法律三〇、平六法律一一六) 3 第百八十四条の四第二項又は第四項[条約第一九条に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文の提出]の規定により条約第十九条(1)[国際事務局に提出する請求の範囲の補正]の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合は、前項の規定にかかわらず、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を第三十六条第二項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなす。(本項追加、平六法律一一六、改正、平一四法律二四) (本条追加、昭五三法律三〇) 趣旨 本条は、国際出願に関し提出された書類を特許法上の手続につなげるためにそれらの書類の位置付けについて規定したものである。 一項は、日本語特許出願及び外国語特許出願の国際出願日における願書(昭和六〇年の一部改正により願書の翻訳文の提出は要しないこととした。一八四条の四の[趣旨]参照)は三六条一項の規定により提出した願書にみなす規定である。 二項は、日本語特許出願(昭和六二年の一部改正により、本条で定義することとなった)の国際出願日における明細書及び外国語特許出願の国際出願日における明細書の翻訳文は三六条二項の規定により願書に添付して提出した明細書に、日本語特許出願の国際出願日における請求の範囲及び外国語特許出願の国際出願日における請求の範囲の翻訳文は三六条二項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲に、日本語特許出願の国際出願日における図面及び外国語特許出願の国際出願日における図面(図面の中の説明を除く)及び図面の中の説明の翻訳文(一八四条の四の[趣旨]参照)は三六条二項の規定により願書に添付して提出した図面に、日本語特許出願の要約及び外国語特許出願の要約の翻訳文は三六条二項の規定により願書に添付して提出した要約書に対応するものとし、それらの書面をそれぞれ特許法上の願書等とみなす規定である。 三項は、PCT一九条の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文の特許法上の位置付けについて規定したものであり、平成六年の一部改正により新設された規定である・ 従来は、外国語特許出願について提出されたPCT一九条に基づく補正書の翻訳文は、国際出願日における請求の範囲の翻訳文が提出された後に提出されることから、旧一八四条の七第二項において当該補正書の翻訳文が提出されたときは一七条一項の規定による手続の補正がされたものとみなしていた。しかしながら、平成六年の一部改正において、出願人の選択により国際出願日における請求の範囲の翻訳文が提出されない場合が生じることとなったため、PCT一九条の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合には、国際出願日における請求の範囲の翻訳文の提出の有無にかかわらず、これを願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなすこととした。 外国語特許出願については、本条により明細書等の翻訳文が特許法上の明細書等とみなされることとなるが、この規定により外国語特許出願の内容が翻訳文に記載された翻訳文に基礎をおいてすればよいこととなるが、一八四条の一八の規定により読み替えた四九条五号の規定にあるように、明細書等(翻訳文)に記載した事項が国際出願日における国際出願の明細書等に記載した事項の範囲内にないときは拒絶の理由が生じることになる。 なお、平成一四年の一部改正において、三六条において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、本条にも同様の修正が加えられた。(青本第17版)
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第一章―総則 第一条 第二条 第三条 第四条 第五条 第六条 第七条 第八条 第九条 第一〇条 第一一条 第一二条 第一三条 第一四条 第一五条 第一六条 第一七条 第一七条の二 第一七条の三 第一七条の四 第一八条 第一八条の二 第一九条 第二〇条 第二一条 第二二条 第二三条 第二四条 第二五条 第二六条 第二七条 第二八条 第二章―特許及び特許出願 第二九条 第二九条の二 第三〇条 第三一条 第三二条 第三三条 第三四条 第三五条 第三六条 第三六条の二 第三七条 第三八条 第三九条 第四〇条 第四一条 第四二条 第四三条 第四三条の二 第四四条 第四五条 第四六条 第四六条の二 第三章―審査 第四七条 第四八条 第四八条の二 第四八条の三 第四八条の四 第四八条の五 第四八条の六 第四九条 第五〇条 第五〇条の二 第五一条 第五二条 第五三条 第五四条 第五五条から第六三条まで 第三章の二―出願公開(本章追加、昭和四五法律九一) 第六四条 第六四条の二 第六四条の三 第六五条 第四章―特許権 第一節―特許権 第六七条 第六六条 第六七条の二 第六七条の二の二 第六七条の三 第六七条の四 第六八条 第六八条の二 第六九条 第七〇条 第七一条 第七一条の二 第七二条 第七三条 第七四条及び第七五条 第七六条 第七七条 第七八条 第七九条 第八〇条 第八一条 第八二条 第八三条 第八四条 第八五条 第八六条 第八七条 第八八条 第八九条 第九〇条 第九一条 第九一条の二 第九二条 第九三条 第九四条 第九五条 第九六条 第九七条 第九八条 第九九条 第二節―権利侵害 第一〇〇条 第一〇一条 第一〇二条 第一〇三条 第一〇四条 第一〇四条の二 第一〇四条の三 第一〇五条 第一〇五条の二 第一〇五条の三 第一〇五条の四 第一〇五条の五 第一〇五条の六 第一〇五条の七 第一〇六条 第三節―特許料 第一〇七条 第一〇八条 第一〇九条 第一一〇条 第一一一条 第一一二条 第一一二条の二 第一一二条の三 第五章―削除(削除、平一五法律四七) 第一一三条から第一二〇条まで 第六章―審判 第一二一条 第一二二条 第一二三条 第一二四条 第一二五条 第一二五条の二 第一二六条 第一二七条 第一二八条 第一二九条及び第一三〇条 第一三一条 第一三一条の二 第一三二条 第一三三条 第一三三条の二 第一三四条 第一三四条の二 第一三四条の三 第一三五条 第一三六条 第一三七条 第一三八条 第一三九条 第一四〇条 第一四一条 第一四二条 第一四三条 第一四四条 第一四四条の二 第一四五条 第一四六条 第一四七条 第一四八条 第一四九条 第一五〇条 第一五一条 第一五二条 第一五三条 第一五四条 第一五五条 第一五六条 第一五七条 第一五八条 第一五九条 第一六〇条 第一六一条 第一六二条 第一六三条 第一六四条 第一六五条 第一六六条 第一六七条 第一六八条 第一六九条 第一七〇条 第七章―再審 第一七一条 第一七二条 第一七三条 第一七四条 第一七五条 第一七六条 第一七七条 第八章―訴訟(改正、昭五三法律三〇) 第一七八条 第一七九条 第一八〇条 第一八〇条の二 第一八一条 第一八二条 第一八二条の二 第一八三条 第一八四条 第一八四条の二 第九章―特許協力条約に基づく国際出願に係る特例(本章追加、昭五三法律三〇) 第一八四条の三 第一八四条の四 第一八四条の五 第一八四条の六 第一八四条の七 第一八四条の八 第一八四条の九 第一八四条の一〇 第一八四条の一一 第一八四条の一二 第一八四条の一三 第一八四条の一四 第一八四条の一五 第一八四条の一六 第一八四条の一七 第一八四条の一八 第一八四条の一九 第一八四条の二〇 第一〇章―雑則 第一八五条 第一八六条 第一八七条 第一八八条 第一八九条 第一九〇条 第一九一条 第一九二条 第一九三条 第一九四条 第一九五条 第一九五条の二 第一九五条の三 第一九五条の四 第一一章―罰則 第一九六条 第一九六条の二 第一九七条 第一九八条 第一九九条 第二〇〇条 第二〇〇条の二 第二〇一条 第二〇二条 第二〇三条 第二〇四条